主なサポートエリア|草加市、越谷市、八潮市、三郷市、吉川市など
☆厚生年金基金で、給付総額が保険料(掛け金)収入を初めて上回ったことが厚生労働省の調べでわかった。高齢化で年金を受け取る人が増え、保険料を払う現役の社員が減っているため。このため厚年基金の収支は急速に悪化、ほぼ半数が年金給付のために積立金を取り崩している。現役社員について、保険料の引き上げや将来の給付額を減らす動きがさらに広がりそうだ。
年度 |
保険料 収 入 |
給付金 総 額 |
基 金 数 |
う ち 積立金 不 足 |
(億円) | ||||
2005 | 15,869 | 11,489 | 687 | 62 |
06 | 15,293 | 11,887 | 658 | 46 |
07 | 14,638 | 12,239 | 626 | 404 |
08 | 13,912 | 12,906 | 617 | 603 |
09 | 13,167 | 13,886 | 608 | 364 |
(注)厚生労働省調べ
厚年基金は企業年金のひとつで、制度発足から45年たった。
厚年基金は加入者が払った保険料を事前に積み立て、将来の給付に回す仕組み。厚労省によると、09年度に厚年基金から年金を受給する人は前年度比6%増の272万人。一方、保険料を払う加入者は2%減の456万人だった。加入者に対する受給者の割合は09年度は59%となり、05年度(43%)と比べても大幅に上昇している。
積立金の取り崩しが増えているのに加え、積立金の運用難も重なり、厚年基金の積立金不足は深刻になっている。
09年度の厚年基金の平均運用利回りは15%と高水準だった。にもかかわらず、10年3月末時点で608の厚年基金のうち、年金給付に必要な積立金(責任準備金)が不足している基金は、まだ半数以上の364あることが判明。
一部の厚年基金は、現役社員の保険料率を引き上げたり、将来の給付を減らすなどの方法で基金の財政悪化に歯止めをかけようとしている。ただ、厚年基金をつくっている企業には中小企業も多く、従業員の負担を増やせず、財政が悪化し続けているところも目立つ。
厚労省は「厚年基金の財政悪化は基金自身の責任」として、国は関与しない考え。ただ積立金が不足する基金への監督は強化する方針。(5月4日:日本経済新聞より)